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「Lotus」は、植物の蓮を意味します。仏教では泥水の中から清浄な美しい花を咲かせる姿が仏の智慧や慈悲の象徴とされ、仏像の台座や建築・工芸などの装飾に古くから様々なかたちで意匠されています。
この作品は、これまで私たちが文化財の修復や調査・研究を通じて習得した古典技法を取り入れ、制作しています。また、その中にいろんな色を織りまぜ、遊び心を交えながらかわいい作品に仕上げました。古さと新しさ、まさに古代と現代とを繋ぐ一本の「line」として感じて頂ければ幸いです。
素材:桧材・漆・金箔・岩絵の具

「Lotus Line」




水面
蓮弁
蓮肉
拭き軸
茎

作品は全てのパーツを桧材(※1)で制作しています。木地を彫出した後、漆を施しています。
蓮弁の色は、6種類のカラーリングになっています。これは表面に乾漆粉(※2)を蒔いて漆で定着させています。乾漆粉独特のマットな質感と力強い色調がポイントです。蓮肉・茎も同様に乾漆粉で仕上げています。
蓮弁や蓮肉の上部には乾漆粉の上に截金(※3)という技法を取り入れています。截金は、金箔による発色効果でいっそう個々の形を引き立たせます。
蓮弁の形(※4)は薄くて弁先までが柔らかな平安時代後期の形を踏襲しています。構造は、鎌倉時代以前によく用いられた差し込み式(※5)の構造で、蓮弁に葺き脚をつけ、葺き軸に切り込んだ葺き穴に差してあります。
水面は波紋をノミや彫刻刀で彫出し、木地を完成させた後、漆塗りを施し、彩色しています。彩色は古来から仏像や仏画に用いられている日本画の彩色技法で描いています。白土による下地を施した後、天然岩絵具の緑青を膠で溶き、細かい粒子から順に描き、波紋の凹凸にあわせ抑揚を付けています。

※桧材