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「不動明王坐像の修復から五大明王プロジェクトへ」
〜修復と新規仏像制作の事例〜

 2007年神奈川県の寺院から不動明王坐像の修復依頼がありました。お寺での事前調査を行い、お像は平安期の古様を残す優れたお像であると同時に、虫害や経年劣化による損傷が激しく、すぐにでも修復を要する状態であることが確認できました。その後X線調査もおこない、後世の修理の際に打ち込まれた各時代の数百本の釘・鎹が見つかり、想像以上の損傷であることが判明しました。修復は一旦像をばらばらにする解体修復という大掛かりな修復になりました。数ヶ月後、本修復工程のうち中盤にさしかかった頃、御住職さまより、安置するお堂内の四方に明王を配置し、修復完了後は五大明王としてお祀りしたいというお寺のご意向を伺いました。これにより新たに五大明王プロジェクトがスタートしました。本像の修復終了後から制作を開始し、2009年の秋に無事四体を納め、五大明王として安置する事ができました。本事業は、修復と新作を通して「かたち・こころ・技」の継承を実践することができた良い事例となりました。

修理前
修理後

1.

X線調査

幾度も修理がおこなわれ、200本

以上の釘・鎹が打ち込まれていた。

​2.

損傷状況

経年劣化による材の矧ぎ面の亀裂

​3.

解体作業

像の損傷状況からいったん

各部材をばらばらにした後、

強化し、再度組み上げる

全解体修復をおこなう。

​4.

含浸強化処置

アクリル樹脂パラロイドB72

において含浸強化をおこなった。

​5.

釘穴埋め・虫穴充填

除去したすべての釘穴に埋め木をする。また虫穴にはアクリル系樹脂において充填処をおこなう。

6.

組み直し

各部材の造形的繋がり、制作当初の釘・鎹の位置などを基に検討し、組み上げていく。材の隙間には板材をいれる。

新たに鎹を新調し、当初部にのみ打ち込む。

7.

補作・成形

一部の欠失箇所ならびに後世の像容を損ねる修復箇所には部分的に補作・成形をおこなった。

8.

補彩

補作・成形箇所に全体との調和を図りながら、補彩を施した